離乳食の進め方

今回は、離乳食シリーズ第3段として、内臓の整い方を考えながら離乳食を進める、ということについてお話しましょう。

 

「離乳食のタイミング」として意欲編身体編と2つの記事を発信しましたが、その補足も兼ねられたらと思っています。

 

目安になる内臓は歯と舌

人間は雑食なので、歯の種類は草食用-門歯、肉食用-犬歯、穀物用-臼歯の3種類が生えていて、その歯の比率が2:1:5です。

そこから考えて、野菜や果物を2割、肉を1割、穀物を5割食べるとよい、というお話を聞いたことがある方も多いでしょう。

赤ちゃんに食べること教えていく上で歯の生え方を基準にすることはとても分かりやすく、さらに内臓の状態も照らし合わせるともっと理解が深まるかと思います。

 

また、舌は体質や内臓の状態を映し出すものとして診察基準にもなっています。

東洋医学では望診法といって、舌を見るだけで不調の原因がわかるお医者様もいるようです。

 

 

離乳食の開始が6ヶ月頃がよいと言われているのは、おそらく唾液の分泌がよくなり食物を飲み込みやすくなる頃だからでしょう。

この頃小腸でもタンパク質と脂肪の消化酵素が少しずつ増えてきて、歯は通常下の1番(真ん中の2本)から生え始めます。

そろそろ離乳食を食べられるようになってきたよ、という赤ちゃんの身体からのサインですね。

 

しかし個人差がありますので、口の開閉具合、唾液の出方や舌でスプーンを押し出さないかなどを正確に確認することはとても大切です。

7ヶ月、8ヶ月になっていたとしても歯も生えておらず、まだ舌でスプーンを押し出すようなら、哺乳反射が残っているので授乳の時期の最中だと身体が判断しているということになります。

 

 

お乳を飲んだり、手足を舐めたり、おもちゃや気になったものを口に持って行って咥えたりしながら、赤ちゃんの口の中や周りが発達していきます。

 

おもちゃなどをかじって遊ぶことも発達の一環

 

舌が前後運動で前から奥へと動き、乳を搾り出して飲み込んでいた時期から、唇の筋肉の発達により口を閉じて飲めるようになるまで、遊びの中でもしっかりと口の周りや口の中を発達させてください。

 

おもちゃを舐めたり、かじったり、手と口で遊ぶことを「きたないから」といって止めない方がいいということです。

 

 

この時期の身体を使った運動は、二点を結ぶ行ったり来たりの直線運動、つまりズリバイや寝返りを心ゆくまでさせてあげて下さい。

なかなかズリバイが進まない時は、手の届きそうなところにおもちゃを置いて取りにこさせるような遊びをしましょう。

 

 

野菜を食べる門歯(前歯の上下4本づつ)が生えたら、次は犬歯をとばして一つ奥の4番の臼歯が生えてきます。

まだ肉を与えていい時期ではないと身体が教えてくれています。

ですからこの時期はまだ野菜とお米などの穀物中心の食事にし、たんぱく質も豆腐や豆、芋類、鰹節の出汁などから取るようにしましょう。

 

口の周りと舌の動き

食育のスタートとして一緒に食事をすることや、大人が食べる様子をじっと見たり欲しがったりすることはとても大切なことですが、大人の皿から自由に取らせるということは、けじめとして止めて下さい。

 

逆に、自分のお皿やお椀に手を伸ばしたら、そのまま掴ませて構いません。

汚れるし散らかるので「やめて~」と思うのはわかりますが、ぐっと我慢して下さい。

手でべたべたをこね回して「食べ物」を感じたり、口の周りが汚れるのも構わず食べようとしたら、それはとてもいい兆候です。

 

こんな段階も必要。しかし本格的に遊ぶようになったら止めます。

 

舌先から味わって「自分で」食べることで、離乳食に対する興味と意欲が育ちます。

口の周りを汚さず食べさせると過敏性が取れないこともありますので、顔中がべたべたになっても気にしないで下さい。

 

 

口の中は、舌の動きが前後上下だけの直線の動きから左右にも動くようになってきます。

そうなってくると身体もどんどん発達して、床を自由にはい回れるようになります。線の動きから面での活動に移行する時期です。

 

 

 

身体の動きがあまり見られないというお子さんは、口の中を確認してみて下さい。

舌がぽってり厚いのなら、まだ口腔内の発達が未熟で、舌の動きも鈍くその結果身体全体の発達が進まないという悪循環になっているのかもしれません。

内臓も筋肉も発達が遅いので歯もなかなか生えないという関連性が考えられるでしょう。

 

手と口を一緒に使う動きを促し、しっかり遊ばせてあげて下さい。

 

歯ぐき食べから

1才を超える頃になると、胆汁の分泌がよくなり、脂肪の消化がしやすくなります。

遊び方も、つかまり立ちが始まったり、歩き出したり、平面から立体への自由な 動きに変わってきます。

すると、歯も整い始め噛む力も強くなってきます。

前歯で嚙み切る練習を始めてもよいでしょう。

野菜スティックやおにぎりを細長く握ってやり、手に持って噛み切りながら食べていくと、奥歯も徐々に生えそろってきます。

 

 

この時期から2才になる頃までに噛む能力を獲得しないと、噛むことが苦手なまま育ってしまうと言われています。

乳児嚥下が残ってしまうと、喉で飲み込む癖が抜けず、口呼吸になり感染症にかかりやすくなりますので、口を閉じ鼻で息が吸えているかを確認し、口の中の動きも注意深く観察してみて下さい。

「噛んでるかな?」「舌を使って飲み込んでるかな?」と観てあげながら離乳食を食べさせることが重要です。

 

気付いた時から

4、5才にもなったのに、口があいたまま舌が見えていたり、よだれが止まらなかったりすることがあるのですが、もう手遅れですか?というご相談を頂くことがありました。

 

気付いたらその時から訓練を始めれば大丈夫です。

 

子どもの成長に手遅れはありません。ただ、一度身についてしまったことを上書きするのは少し大変かもしれませんが、まだ身体も気持ちも柔らかい年令ですので、楽しく一緒に改善してあげましょう。

 

口が閉まらないお子さんには、おもちゃの笛や吹き戻しなどで遊ばせるとよいでしょう。

噛まずに飲み込むお子さんには、よく噛まないと食べられない、食物繊維たっぷりの食事や芋や果物などを大きくカットして、かじり取ったり口の中でかみ砕くことを教えましょう。

 

一番のお勧めは「あいうべー体操」です。

 

園では、毎朝「あいうべー体操」を、教育キネシオロジーと言われている「ブレインジム」と一緒に行っています。

お子さんに教えてもらいながら是非お母さんもやってみて下さい。

お母さんの方が整ってきて、あごや輪郭がすっきりされる方もいらっしゃったんですよ。

 

2024年7月9日