他人を意識させることから伸びるコミュニケーション能力
保護者面談で皆さんが一番心配されるのは、友だち関係のことです。
「お友だちと上手く遊べていますか?」
よく聞かれる質問です。
そして、私たち保育者も人と人との関わりやコミュニケーション能力をきちんと身につけさせたいと考えています。
ひとつの例として、喧嘩がおこった時の対処があります。
たとえ目の前で喧嘩が始まっても保育士たちは下手に割っては入りません。
両方の話をよく聞き、一方的な言い分には
「ごめんね、先生そこは見てなかったから、やった子に直接『いやだったよ』って言ってね」
と突き放します。
すると子どもはどう思うのでしょうか?
子どもの訴えの多くは、相手から受けた嫌な思いをそのまま返したいというよりは、大人に自分を慰めてもらったり、強い存在に相手を怒ってもらうことで優越感を感じたいだけなのですね。
実際、突き放してみると子どもたちは、もうどうでもよくなって違う遊びに興じ始めるか、まるでセリフのような「いやだったよ」「ごめんね」というやり取りの後、すっかり元通りに、機嫌よく遊び始めます。
そして、そのうち『言いつけ』てくることがなくなります。
「ママに言う」と騒ぐ高校生よりずっと大人な園の子どもたちです。
また、友だちを叩いたり押したりするお子さんを
「それしたいの?あ、好きなんだね!じゃあ同じことしてあげる~~」
と追いかけることがあります。
相手を叩くのはよくても自分が叩かれるのは嫌。それは当然のことですが、その気持ちを認識させないと、他人を叩くことで何かを満足させる、相手の痛みは何も感じないという育ち方をしてしまいます。
時々「うん。やって!」というお子さんがいて、非常に困ることもあるのですが・・・(笑)
そんな数年を経るうちに、年中・年長になると子どもたち同士で喧嘩の始末をつけられるようになってきます。
先生を頼っても、自分の味方にはなってくれないという経験を積み重ね、「自分で何とかしよう」という気持ちが芽生えたのだと思います。
そして小さいうちから、そんな先輩たちを見て真似をしますので、クラスがあがっていくうちに、子どもたち同士で喧嘩の仲裁をしてくれる場面がよく見られるのです。