子どものさまざまな症状は「不満脳」からくる“チック”であるということ、そして原始反射や成長段階での脳の発達の仕方について、以前このようにご紹介してきました。
今回は、それをふまえて「脳」の働きから、不足してきた動きと遊びながら補える方法を考えていきたいと思います。
子どものさまざまな症状は「不満脳」からくる“チック”であるということ、そして原始反射や成長段階での脳の発達の仕方について、以前このようにご紹介してきました。
今回は、それをふまえて「脳」の働きから、不足してきた動きと遊びながら補える方法を考えていきたいと思います。
人間の脳は、この図では下から上へ、下記1)〜3)の順に発達していきます。
1)「脳幹(爬虫類・魚類の脳)」
脳幹(自律神経機能の中枢)は、戦う、逃げる、固まってやり過ごす、衝動性、無意識など、生きるための身体の反射を司ります。
生まれたての赤ちゃんがお母さんの乳房に吸いついたり、不快なら泣いたり、動くものを目で追ったりできるのは、この反射があるからです。
お母さんに抱かれて、お母さんの服などをきゅっと握るのも無意識の反射。それを繰り返すうちに脳も手も満足して次のステージに進めます。
首が反らないように飲ませて下さい。嚥下に問題が出る場合もあります。
2)「大脳辺縁系(哺乳類の脳)」
大脳辺縁系は、好き、嫌い、快、不快、する、しない、といった、たくましく生きるための反応(感情)を示す働きがあります。
この段階に入ると痛みを感じたり、周囲の人達に反応するようになります。人見知りの時期ですね。
この「哺乳類の脳」があまり刺激されずに成長してしまうと、痛みを感じなかったり、人を意識できなかったりする状態のまま大人になってしまいます。
これは自閉症スペクトラムの症状と酷似しているので、自閉症は生まれつきではなく神経経路の成長不全だという学者がいるのはそのためです。実際のところはまだよくわかっていないというのが現状ですが。
また、感情的にとらえること(快・不快、好き・嫌いなど)は現れますが、その事象に対してどうするかという観念回路を使った実現思考にまでは至ることが出来ません。
観念を使わなければ思考停止するか、自我に向かって自己正当化するしか道はなくなります。(安心科学アカデミー資料より)
3)「大脳新皮質(霊長類の脳)」
大脳新皮質は、理論、思いやり、見通し、我慢する、目的のために自分は何が出来るかと考え動くなど、よりよく生きるための対応(知性)を表します。
3歳頃になれば、感覚脳である右脳が開発されイメージとしての情報が大量にインプットされ始めます。
友達を意識して、一緒に遊びたいと思ったり、ぶつかっても仲直り出来たりするお子さんは、脳幹から大脳周縁系そして大脳新皮質と、順調に適正な刺激を受けて育ってきたお陰だと思われます。
→脊椎を意識・左右同時、上下運動(相同性)
・しゃがむ
・その場でジャンプ(前後に動かない)
・押し相撲・両足で飛び降りる
・金魚運動(足を持って左右に揺らす)
・ボールを両手でキャッチする
・合図で立ちどまれる(だるまさんがころんだや、ストップゲーム)
身体をまっすぐ保てる、信念が育つ、安心感を持つ、集団になじむ、
参加か撤廃かを選べる
→左右個別に使える動き(同側性)
・片手ちゃんばら
・ギャロップ
・くるくる回る鬼ごっこ
・ケンケン
・片手キャッチボール
感情を伝える、気持の切り替えができる、自分の考えで物事を進める、やる気とトラウマのバランスをうまくとる。
→左右別々の動き(対側性)
※脊椎→相同→同側の三段階を経てたどり着くのが「対側性」。
体の中心線をまたぎ左右それぞれが自然に違う動きができるようになります。
この段階で、初めて学習の土台が築かれたことになります。
・食事中、両手が使える(片手がお留守にならない)
・紙の文字を消しゴムで消せる
・反復横とび
行動や気持ちをより上手く出せる、見通しがもてる、思いやり、共感できる、
我慢できる
身体を使って十分遊びこむことをせず、いきなり計算や文字を教えるというのは、土台の部分が穴だらけのレンガの壁を積んでいくのと同じで、いつか崩れる時がきます。
それが、不登校や引きこもり、鬱などの症状につながるということなのでしょう。
もしお子さんに気になるところがあるなら、抜けたであろうところに戻って、改めて獲得していない動きをさせ、それを埋めてあげて下さい。
例えば
気持ちの切り替えが難しく、自分の考えで物事を進められないことをイライラしたり叱ったりするのではなく、
「大脳辺縁系が育っていかないのは、脳幹が育まれていないのかも」
と、相動性(左右同時、上下運動)の、ずりばい体勢で出来る動きを、遊びとしてしっかりさせてあげる。
訓練ではなく、親子一緒に毎日少しずつでもいいので、楽しくかかわってみて下さい。
まだ素直な幼児のうちはどのようにでも立ち戻りやすいので、不足だと思われる動きを子どもの身体が満足するまでしっかりさせてあげたら、きっと改善に向かうことでしょう。
2023.1.5